2012年9月1日土曜日
きれいな海:それは死んだ海だった:魚のいなくなった海
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日本は「きれいな海」を求めてきた。
そしてそれが実現してきた。
大阪湾の透明度はこれまでの3mから6mという素晴らしさにまで達した。
美しい海がよみがえりつつあると思ったのだが。
なんと、落とし穴があった。
美しい海とは、死んだ海だった。
なんという皮肉。
魚の住めない死んだ海だったのだ。
『
2012年8月26日11時11分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20120824-OYT1T00716.htm
瀬戸内海、水清くなり魚住まず? 悲鳴上げる漁師
泉佐野漁港に水揚げされた魚の競り。かつては床一面に魚を入れる「トロ箱」が並んだ(大阪府泉佐野市で)
水がきれいになり過ぎて、魚が住めない?――。
瀬戸内海で魚介類の漁獲量が減り続け、漁師らから、こんな声が上がっている。
水質改善が進んだことで、植物プランクトンを育てる窒素やリンなどの「栄養塩」が減り過ぎたことが一因と分析する研究者もおり、国も実態解明に乗り出した。
◆「もうけがない」
関西空港に近い泉佐野漁港(大阪府泉佐野市)。
瀬戸内海での8時間の底引き漁から戻ってきた男性(38)は、浮かない表情を見せた。
この日はカレイやヒラメ、エビなどが取れたが、数はどれも少ない。
「10年前は1日に7~8万円分の水揚げがあったのに、今は2万円程度。船の燃料代も高いし、ほとんどもうけはない」
農林水産統計などによると、瀬戸内海の漁獲量は1982年の46万トンをピークに減少し、2010年は17万5000トンまで落ち込んだ。
80年代に比べ、カレイ類が2分の1、イカナゴは6分の1に。
アサリ類は約190分の1に激減した。
漁師の多くは船やエンジンの買い替えを先延ばしし、夜間、アルバイトで収入を補う若手もいる。
大阪府内24漁協が加盟する府漁業協同組合連合会の松林昇会長は
「このままでは瀬戸内海の漁
業は終わってしまう」
と危機感を募らせる。
◆窒素量6割減
漁獲量減少の原因として、漁師が口をそろえるのは
「海がきれいになり過ぎて、魚がいなくなった」
ということ。
兵庫県立農林水産技術総合センター・水産技術センターの反田実所長は
「海水中の栄養塩が減り、海が『貧栄養化』してきたためでは」
と指摘する。
瀬戸内海では高度成長期、工場排水や生活排水に含まれる栄養塩で富栄養化が進み、赤潮の被害が頻発。
このため国は、79年施行の「瀬戸内海環境保全特別措置法」(瀬戸内法)で工場排水制限や下水道整備などを進め、01年には窒素やリンの総量規制も定めた。
その結果、83年に1リットルあたり0・34ミリ・グラムだった海中の窒素量は、昨年は0・14ミリ・グラムにまで減少。
海水の透明度も大阪湾で3メートルから6メートルに広がった。
因果関係は明確ではないが、漁獲量の減少は水質改善と並行して進む。
窒素などを吸収して育つ養殖ノリが、栄養塩不足で黄色く変色する「色落ち」が兵庫、岡山、大分県などで頻発。
大阪府南部では、魚のエサ場や産卵場になる海藻類が生えず、岩場がむき出しになる「磯焼け」もみられる。
』
【気なる目次(4)】
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