2012年12月14日金曜日

謎の燃える湖には地元消防署も思案:水をかけても地中から立ち上る煙

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NICHIGO PRESS 2012年12月13日
http://nichigopress.jp/ausnews/news_others/46084/

謎の燃える湖には地元消防署も思案
水をかけても地中から立ち上る煙

 NSW州最西部、ウィルカニアからブロークン・ヒルに向かう国道の脇にウォイチュガ湖(Lake Woytchugga)がある。
 湖とは名ばかりで、通常は干上がった乾湖で、まれにダーリング川水系に水があふれた時だけ水を湛え、野鳥が集まる。
 そのため、バード・ウォッチングの名所にもなっている。
 そのウォイチュガ湖の岸が何週間も燃え続けており、地元郡部消防署が出動して水をかけても消えない。
 そもそも地上の草木が燃えているのでもなく、地中から煙がわき出してくるだけで、消防署は「措置のしようがない」とあきらめている。

 2か月ほど前、通報を受けたウィルカニアの消防署員が町から5kmほど離れたウォイチュガ湖に出動した。
 郡部消防局最西部管区を管理するクリス・ファベル氏は、
 「消防車を出動させたが、消防士が行ってみて狐につままれたような気分になった。
 草木が燃えているのではなく、湖の岸が燃えていたのだから。
 それ以後、消防署員が地面を掘ったり、水浸しにしたりを試してみたが、しばらくするとまた煙が立ち昇ってきて、さっぱり訳が分からない」
と語っている。
 消防署では、おそらく地中に古い有機物の堆積があり、それがくすぶっているのだろう。
 この湖は洪水の後だけ水がたまり、植物の屑が積もっているようなところだ。
 だから、タンカーで水を運んできて水浸しにしたり、燃えている周囲に盛り土してその内側だけ勝手に燃えさせるようにしている。
 穴を掘ってもただ、煙がわき上がってくるだけだった。
 15年この仕事をしているが、こんなのは初めてだ。
 湖の縁に古代の有機物が砂などに混じって堆積していて、夏になるとこのあたりは乾燥高温になるから地中で燃え出すのではないかと考えている。
 心配なのは周囲の草むらに燃え広がることだけだ。
 燃え始めたのも、湖岸で誰かがたき火をして、その熱で地中のそういう有機物に燃え移ったのではないかと思う」
と語っている。

 (訳注:湿原の植物が枯れて積み重なり、炭化していくと泥炭になる。
 泥炭は低温地域に多いが、熱帯地域でも泥炭が積もることがある。
 泥炭が乾燥すると自然発火しやすくなる。
 ロシアや東南アジアでも泥炭火災が報告されている。
 オーストラリア大陸の熱暑の砂漠や草原も氷河期には温暖または寒冷な草原や森林だったはずで、現在は干上がってしまっている乾湖も氷河期には水を湛えた湖だったと考えられるからその下に泥炭層があってもおかしくない)。(NP)




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