2012年12月15日土曜日

北朝鮮,人工衛星:打ち上げに成功:地上制御は失敗

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/15 10:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/15/2012121500407.html

ミサイル:人工衛星「光明星3号」は成功したのか

12日に北朝鮮が事実上の長距離ミサイル(北朝鮮は衛星打ち上げ用ロケットと主張)「銀河3号」で宇宙に打ち上げた
 人工衛星「光明星3号」は現在、遠地点588キロ、近地点494キロの楕円軌道を秒速7.66キロで周回している。

 打ち上げ後、光明星3号を「物体」と分類してきた米国の北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は14日、物体に「KMS3-2」という固有名称を付けた。
 光明星3号が北朝鮮の打ち上げた衛星だということを確認したことを示している。

 光明星3号の軌道は、目標とされていた軌道ではない。
 北朝鮮は当初、光明星3号が高度500キロの円軌道を周回するとしていたが、韓国航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授は「これだけの誤差があれば、商用衛星の基準では失敗だ」と述べた。
 軌道をプラスマイナスで60キロ逸脱すれば、衛星写真の精密度や解像度が大きく低下するため、任務遂行が難しくなる。
 銀河3号を衛星打ち上げ用と見なすならば、今回の打ち上げはわずかな差で失敗と判断できる。

 光明星3号は不安定な楕円軌道を描いており、すぐに落下するのではないかとの分析もある。
 ただし、衛星専門家は
 「2日以上同じ軌道を維持できれば、短期的には軌道を離脱して落下する可能性はほとんどない」
と語った。

 衛星本体の打ち上げの成否は衛星映像が伝送できるかどうかだ。
 北朝鮮は今回のミサイル打ち上げが軍事用ではないことを証明するため、衛星の映像を公開する必要がある。
 光明星3号に搭載されたカメラは解像度が100メートルクラスだ。
 韓国科学技術院(KAIST)の方孝忠(パン・ヒョチュン)教授は「大学生が作った物よりややましな程度」と手厳しい。

 宇宙先進国も、開発中の宇宙ロケットの打ち上げ実験を行う際、コスト削減のために通信機能だけを備えた単純な衛星を搭載するケースがある。
 しかし、それは独自の衛星技術を既に保有している場合だ。
 北朝鮮が実際に平和目的の宇宙開発を目指しているとすれば、やや性能が優れた衛星を搭載したはずだ。
 北朝鮮が最終的に衛星の映像を公開できなければ、光明星3号は失敗に終わったと判断できる。
 音楽を乗せた電波やビーコン(衛星が送信する無線信号)の受信には成功する可能性があるが、それは衛星の本質的な機能とは関係がない初歩的な技術にすぎない。

 NORAD関係者はNHKのインタビューに対し
 「どう見ても北朝鮮の物体(衛星)は地上からの制御ができずにいる。
 物体が地上の管制センターと情報をやりとりしている事実も確認できなかった」
と述べた。


 とりあえず、北朝鮮は人口衛星打ち上げには成功した。
 今後は、目的軌道に載せること、衛星との通信システムを確立することなどが課題になってくる。
 これらは、徐々に克服されていくだろう。



ウォールストリートジャーナル  2012年 12月 19日 09:58 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324222904578188062106061122.html

北朝鮮の衛星、機能していない模様だが数年周回続ける可能性

 【東京】北朝鮮が先週打ち上げた衛星は正常に機能していないようだが、数年間軌道上を周回する可能性がある。
 米国の専門家が18日、明らかにした。

 北朝鮮は衛星は機能していると主張しているが、米国の当局者は、衛星が軌道上で回転しているもようだが、そうではあっても打ち上げが米国を標的にした長距離ミサイルを運ぶのに使われる可能性のあるシステムの実質的な試験であるとみられることを考慮すると、その成功はこの貧困国の技術の進歩にとっての一里塚といえる。

 南アフリカと英国の基地からの追跡データによると、衛星の光は上下に揺れており、軌道上で回転していることをうかがわせている。
 衛星は常に地球を向くように設計されるため、このことは衛星のスタビライザーが正常に機能していないことを意味している公算が大きい。

 ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル氏は、それでも衛星は軌道上を周回しており、数年間は回り続ける可能性があるとの見方を示した。
 同氏は、誤作動の原因が不明なことから、北朝鮮がこれを解決し、コントロール可能にすることもあり得るとしている。

 同氏は
 「今のところ、これは壊れていると見るべきだろう」
とし、
 「衛星は確実に軌道を周回している。
 衛星はそこにあり、そこに数年間とどまるだろう。
 ただ、衛星は回転しているようで、私には機能しているとは思えない」
と話した。

 北朝鮮は打ち上げは故金正日総書記への贈り物であり、その息子である金正恩第1書記の同国を指導する上での力とビジョンを証明するものだとして大喜びしている。
 国営朝鮮中央通信は、衛星は「金日成将軍の歌」などの歌を送信していると伝えた。

 米国、日本、英国、その他の国はこの打ち上げは挑発であり、北朝鮮による核兵器とミサイルの開発を禁じた国連安全保障理事会決議に対する違反だとしており、安保理は「適切な対応策」を緊急に検討するとしている。
 ヌーランド米国務省報道官は
 「この打ち上げは兵器開発計画の一環であり、宇宙の平和利用に関するものではない」
と指摘。
 北朝鮮の最も重要な同盟国である中国も遺憾の意を表明した。

 マクダウェル氏は、ミサイルと衛星の打ち上げ技術は重なる部分が多く、北朝鮮はロケット打ち上げ技術を米国を射程に収める核弾頭付きミサイルの開発に使おうとしているのは明白だが、衛星を軌道に乗せることに成功したことは同国への新たな制裁に暗雲を投げかけるかもしれないと述べた。
 同氏は
 「北朝鮮は国民に十分な食糧を与えられないものの、この成功を受けて、同国が先進的な21世紀の国だと国民に訴えることになるだろう」
と語った。
 その上で、
 「北朝鮮はこれはミサイルではなく、衛星の打ち上げだったと言うことができる。
 このことは、自分たちが不公平に扱われているとの同国の国際社会での主張にさらに信憑性を与える可能性がある」
と述べた。

 北朝鮮は今年4月にも打ち上げを行ったが、発射後2分ほどで失敗に終わった。
 同国は2009年にも、衛星を軌道に乗せるのに成功したと主張したが、米国などはその証拠はないとしていた。

(AP通信)
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