2012年8月19日日曜日
ウィキリークス創設者:複数の国巻き込みエクアドル大使館に籠城
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NICHIGO PRESS 2012年8月18日
http://nichigopress.jp/ausnews/world/41684/
ウィキリークス創設者複数の国巻き込む
エクアドル大使館籠城続く可能性大
6月にロンドンのエクアドル大使館に駆け込み、亡命申請したQLD州出身のウィキリークス創設者、ジュリアン・アサンジ氏は、エクアドル政府から亡命許可を得られたが、エクアドル政府がイギリス政府に求めた「アサンジ氏のイギリス出国」の保証をイギリス政府が拒否し、イギリスはスエーデンとの容疑者引き渡し協定に基づいて、アサンジ氏を引き渡す義務があるとして、同氏がエクアドル大使館の外交特権区域を出れば即時逮捕の構えを続けている。
アサンジ氏はスエーデンで2人の女性から性的暴行で訴えられており、スエーデン当局がアサンジ氏の身柄を求めている。
これに対して、アサンジ氏は、
「スエーデンに引き渡されれば、スエーデンは自分の身柄をアメリカに引き渡す恐れがある」
として、これまでイギリスの裁判所に引き渡し差し止め請求を求めてきたが、ことごとく却下され、間もなく身柄を拘束され、スエーデンに引き渡される時期にエ大使館への駆け込みとなったもの。
エクアドル政府は、亡命許可直前に、
「イギリス当局から、アサンジ氏逮捕のためにエ大使館の外交特権を剥奪し、大使館に警官隊を突入させる用意もあるとの通告を受けとった」
として、イギリス政府を、
「友好国の大使館に対してこのような態度を取るのか。
エクアドルはイギリスの植民地ではない」
と非難しており、エクアドルの大統領は、
「イギリスが国外退去を許さないなら、アサンジ氏はいつまでも大使館に居ていい」
と発言しているなど、イギリスに対する反感をあらわにしており、背景には過去の親欧米独裁政権から脱出した南米諸国の意識の高まりがうかがえる。
さらに、8月18日には、オーストラリア外務省が、8回にわたってエクアドル大使館のアサンジ氏に領事援助を申し出たが、アサンジ氏は感謝したものの申し出は断ったという事実を明らかにした。
一方、シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、フェアファクス・メディア社が情報の自由法に基づいて入手した文書を報道しており、
「キム・ビーズリー駐米豪大使が、米政府に対して、『アサンジ氏の引き渡しを要求する場合は事前の警告を望む』と依頼した。
しかし、豪政府は、アサンジ氏のアメリカへの引き渡しに反対しないとの態度を表明している」
と報道している。
これに対して、ジュリア・ギラード豪政府は、駐ワシントンの豪大使館が、アサンジ氏のアメリカへの引き渡しの可能性について用意していることを認めたが、クレーグ・エマーソン貿易担当大臣は、
「これは大使館の任務であり、アメリカへの引き渡しの可能性もあるため、それに用意しているまでで、アメリカ政府が実際にアサンジ氏の引き渡しをスエーデン政府に要求しているか、要求するかということとは無関係だ」
と語っている。
しかし、ボブ・カー外相のスポークスマンは、アメリカ側の機密情報をウィキリークスに漏洩した容疑で起訴されているブラッドリー・マニング兵士の事件を調査している米諜報機関の動向をオーストラリア側が監視していることを明らかにし、その捜査で
「ウィキリークスが言及されることがあっても、それでアメリカ側がアサンジ氏の引き渡しを要求することにはならない」
としている。
ウィリアム・ヘイグ英外相は、
「エクアドル大使館に立て篭もっているアサンジ氏の問題はひょっとすると何か月どころか何年の長丁場になるかも知れない」
と語っている。
オーストラリア側は、ニコラ・ロクソン法務長官が、
「オーストラリア政府にできることは限られている」
と何度も声明している。
ウィキリークスは、
「アサンジ氏が8月19日にエクアドル大使館の前で声明を発表する予定」
としているが、これが、ビルの1室に入居している大使館の外に逮捕覚悟で出るのか、ロンドン警察官の手の届かないバルコニーかどこかでするのかまだ明らかになっていない。
スエーデン政府もエクアドルを非難しているが、死刑制度を廃止しているイギリスやスエーデンは、スパイ罪に死刑も適用するアメリカにアサンジ氏を引き渡さないと言明することを拒否している。
通常、容疑者引き渡しについては、引き渡し元の国で容疑内容が犯罪とならない場合や、犯罪になる場合でも、引き渡し先の国で容疑者が死刑に処される可能性がある場合には引き渡しを拒否することが慣例になっている。
一方、中南米では、イギリスとエクアドルの対立問題を話し合うため、南米諸国連合が19日にエクアドルに集まり、この問題を話し合う特別会合を開くことが発表された。
この問題ではエクアドルが中南米諸国に協力を要請していた。(NP)
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