_
● TBSニュース
『
CNNニュース 2012.08.01 Wed posted at 10:08 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35019885.html
インドで2日連続の大停電、6億人に影響 首都も混乱
ニューデリー(CNN) インドで31日、前日に続いて大規模な停電が発生し、人口の半分に当たる6億人あまりに影響が出た。
首都ニューデリーでも交通網が混乱し、乗客が足止めされたり企業の業務に支障が出たりするなどの被害が広がっている。
31日の停電は前日の北部7州に加えて東部と北東部にも広がり、ニューデリーでは2日連続となった。
電力会社のウェブサイトによれば、電力は現地時間の31日午後9時30分までにニューデリーと北東部の地域で完全復旧、北部で86%、東部で79%が復旧したという。
鉄道会社によれば、この影響で列車少なくとも300本の運行に支障が出た。
ニューデリーを走る地下鉄にも遅れが出たほか、信号機が停止して大渋滞が発生するなどの混乱が続いた。
ニューデリーの住民は、普段なら40分のところを3時間近くかかって帰宅したといい、「電気なしの長い夜に備えて太陽光ライトを用意している」と話した。
予定していた外出ができなくなったという住民や、蒸し暑い駅で長時間待たされたという住民もいた。
西ベンガル州の炭鉱ではエレベーターが停電で動かなくなるトラブルもあった。
停電発生時は約150人が地下で作業していたが、非常用電源に切り替えてエレベーターを運行し、全員が無事だったという。
空港や病院は非常用電源を使って業務を続ける一方、休業となる企業も多かった。
停電の原因は、電力量が増大する需要に追い付けなかったことにあるとみられる。
特に夏場は需要の増大に伴い停電が頻繁になっていた。
今年はモンスーンシーズンの雨量が例年より少なかったため、農家がかんがいなどに使う電力量が増えたほか、湿度の高さからエアコンの使用量も増えていた。
同国の電力相は停電の原因などについて調査を指示した。
原因はまだ分からないとしながらも、一部の州で農地を中心に通常以上の電力が使用されていた可能性があると述べた。
野党からは、政府の電力政策に過ちがあったと批判する声も出ている。
インドの電力消費量は世界で4番目の規模。
石炭による発電のほか、水力発電も利用しているが、モンスーンの雨量が少なかったことで発電能力に影響が出た。
今回の停電により、電力需要増大に対応したインフラ整備の必要性が浮き彫りになったと専門家などは指摘している。
』
『
ナショナルジオグラフィック ニュース August 1, 2012
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120801002&expand&source=gnews
大停電が示すインドの電力危機
7月31日、インドで世界最大規模の停電が発生し、6億人以上が電力を利用できなくなった。
前日の大停電に引き続くインフラの大事故に、
「原因は、効率的なエネルギー供給システムの構築に失敗した政府にある」
との指摘が上がっている。
列車は止まり、信号が消えた交差点では人も車も立ち往生。
摂氏32度を超える気温の中、エアコンが使えず、人々は汗だくになったという。
15時間続いた7月30日の停電がようやく復旧した直後の31日午後1時、はるかに大規模な停電がインドの北部と東部を襲った。
政府当局は電力回復を急ぎ、原因解明に向けた特別委員会を発足させた。
年9%の経済成長を続けるインドでは、以前から需要に追いつかない電力供給不足に関する懸念が表明されている。
最も発展している最大都市デリーですら停電は珍しくない。
ただし、今回の大停電は継続時間も範囲も過去に例のない規模となった。
2020年には1人あたりのエネルギー消費量が2倍になると予測され、電力生産量の増加と効率的な供給が緊急課題としてクローズアップされている。
◆原子力発電計画の遅延
「二酸化炭素の排出を抑えながら発電能力を増強するには、原子力に頼らざるを得ない」
とインド政府は主張。
西海岸の港町ジャイタプール近郊に、世界最大の原発建設計画を進めている。
しかし、最大の商業都市ムンバイの南方400キロに93億ドル(約7300億円)を投じる大事業は、昨年発生した福島第一原発の大惨事以降、厳しい批判にさらされた。
暴力的な抗議活動も発生、計画に伴う調整作業は遅れている。
しかし、建設を請け負うフランスの原子力大手アレバは、
「年末にはインド政府と最終合意に達する見込みだ」
と話す。
◆石炭火力発電のコスト高騰
電力供給量の70%を占める石炭火力発電を拡充する大規模プランも進行中だが、予期せぬ課題に直面している。
例えば、インド有数の財閥タタ・グループに属する電力会社タタ・パワーは、北西部のグジャラート州に世界最大級の石炭火力発電所を建設する予定だが、厳しい現実が明らかになった。
石炭発電は、もはや安価な電気ではなくなっていたのだ。
石炭資源が豊富なインドだが、その品質は低劣で灰分が高い。
最新の発電施設で使用するには問題が多く、タタ・パワーなどは海外に良質の石炭を求めている。
しかし、輸入価格は上昇する一方だ。
タタ・パワーが最初に見積った2006年と比較すると、石炭価格は3倍に跳ね上がった。
現在、50以上の建設計画(総計6万8000メガワット)が、経済難で頓挫しようとしている。
◆再生可能エネルギーの可能性
「インドはもっと再生可能エネルギーに焦点を当てるべきだ」と主張する専門家もいる。
高止まりしていた同国の太陽光発電のコストがディーゼル発電を下回ったのは、つい先日のことだ。
また、アメリカにあるカリフォルニア大学バークレー校の再生可能・適正エネルギー研究所所長ダニエル・カメン(Daniel Kammen)氏は、
「国内の風力資源を再評価したところ、従来の想定の30倍もあった」
と述べる。
太陽光、水力、風力による発電を推進する取り組みは増加傾向にあるが、再生可能エネルギーがエネルギー総量に占める割合はまだ少ない。
インドの目下の課題は、電力の復旧であり、停電の原因解明だ。
しかし長期的には、世界第4位のエネルギー消費国として、電力生産量の増加や供給システムの効率化が必須となる。
好景気に沸く現在でさえ、需要ピーク時の電力不足は15%に及び、改善の兆しはない。
ちなみに国連統計によると、現在12億人の人口を抱えるインドは、2025年までに中国を抜いて世界1位に躍り出るという。
Photograph by Rajesh Kumar Singh, AP
』
『
ナショナルジオグラフィック ニュース July 25, 2011
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110725002&expand#title
議論を巻き起こすインドの原発推進
インド西海岸の港町ジャイタプールで、世界最大規模となる原子力発電所の建設計画が進められている。
この町は電力こそ不足しているが、魚介や果物の輸出で暮らし向きは良く、住民は生活の変化を望んでいない。
3月の福島第一原発の事故後、エスカレートする抗議運動の中で「原発反対」を明確に表明した。
数年前、慢性的な電力不足を抱えるインドは技術的な孤立を解消するため原子力エネルギーの利用拡大を構想、ジャイタプールを重要拠点と位置付けた。
当時のアメリカ、ブッシュ政権は、核拡散防止条約(NPT)調印を拒否するインドでも、西側諸国から民生用原子力のノウハウやウラン燃料を容易に購入できるよう、積極的に外交努力を行った。
しかし、2008年に承認された民生用原子力協力協定の下で、進捗は思わしくない。
今年7月半ばのヒラリー・クリントン国務長官の訪印は、アメリカの原子力企業の足かせとなっている法的障害を取り除く目的もあった。
アメリカ政府はインド議会が可決した厳しい賠償責任法の緩和を目指しているが、国民が抱く不信感や反発の方が議会より大きなハードルとなりそうだ。
◆抗議運動で死者
ジャイタプールは、経済的な中心都市ムンバイの南400キロほどに位置する。
計画されている93億ドル(約7300億円)規模の原子力プロジェクトは、インドに限らず世界中から注目を集めている。
発電能力1650メガワットの原子炉6基を設置し、総発電量は世界最大の柏崎刈羽原発を25%上回る。
電力は近隣の農村だけでなく、インドで最も経済発展が進んだマハーラーシュトラ州全域に供給される。
計画推進に必要な国際協調のお膳立てはアメリカが担っているが、脚光を浴びるのはフランスの技術となりそうだ。
ジャイタプールには、パリを拠点とする原子力大手アレバが加圧水型原子炉EPR(Evolutionary Power Reactor)を導入。
この新世代原子炉を建設する最初の現場の1つになるという。
アメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟(UCS)が数年前に発表したレポートでは、2重構造の格納容器と独立式の予備冷却装置で安全性が向上すると考えられていた。
しかしフィンランドのEPRプロジェクトで起きている予算超過などの問題を引き合いに、適切な試験を受けていない設計の実用化を疑問視する声がインドで上がっている。
福島事故後は、インド全土の環境保護活動家が立ち上がり、反対運動が大きな広がりを見せた。
建設予定の沿岸地域は5段階の地震危険度で第3のランクとの指摘もある。
4月にはデモ隊と警察が衝突し、漁師1人が死亡、負傷者も複数出た。
◆クリーンな電力の推進
インド政府が原子力発電を推進する理由はシンプルだ。
毎年9%前後の経済成長率を示すインドだが、地方部の56%の世帯(約4億人)は電力難民となっている。
発展著しい大都市でも慢性的な電力不足で、予備電源を大規模なディーゼル発電に依存している状況だ。
国民1人あたりのエネルギー消費量が2020年までに倍増するとの見方もあり、政府は炭素を排出せず電力を大量供給できる原発の必要性を強く訴えている。
「原子力は最も低コストでクリーンな電力供給手段だ」
と、ジェイラム・ラメシュ前環境森林大臣は言う。
◆代替案の模索
反対勢力は、1993年3月に北部のガンジス川のほとりに建つナローラ原発で起きた重大事故を引き合いに、原子力の危険性を訴える。
この事故では高速蒸気タービンの翼が折れ、火災が発生。
福島と同様に停電が起こり、炉心の過熱が進んでメルトダウン寸前まで達したという。
元駐米インド大使のローネン・セン(Ronen Sen)氏は、インド政府の原発プロジェクトを支持しているが、原子力エネルギーはあくまで解決策の「1ピース」と考えている。
今後は化石燃料への依存を減らし、エネルギーの供給源を多様化させ、再生可能エネルギーなどにも投資すべきだという。
インド最大の複合企業体タタ・グループで持続可能性責任者を務めるアビナシュ・パトカール(Avinash Patkar)氏によると、再生可能エネルギーを効率的に利用するには、インド政府が電力の分散化に努めるべきだという。
大規模送電網への依存から脱却し、電力の届かない地方部では小規模の発電システムを独自に構築する必要がある。
「村々で起業家が立ち上がり、バイオマス、太陽光、風力、水力などを利用した発電システムを開発すべきだ」。
反原発活動家プリフル・ビドワイ(Priful Bidwai)氏によれば、原子力発電の必要性は減らすことができる。
政府主導で規模によらず再生エネルギーを推進し、エネルギー効率を高めれば、大規模送電網への依存を抑制できるという。
現内閣で農村開発を担当するラメシュ前環境森林大臣も、電力需要の抑制は解決策の一つだという。
「インドの人口は増加の一途をたどっている。
電力需給の最適なバランスを見つけなければならない。
今後、電力消費の新しいモデルはインドから生まれる」。
Photograph by Punit Paranjpe, AFP/Getty Images
』
【気なる目次(4)】
__