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NICHIGO PRESS 2012年8月30日
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/42229/
連邦政府、歯科医療に40億ドル
児童と低所得者に無料補助制度
オーストラリアでは、国民皆医療保険制度メディケアが歯科治療に適用されず、しかも歯科治療は非常に高い。
そのため、これまでの調査でも国民特に低所得者階層の口腔衛生が極端に悪化していることが明らかにされてきた。
8月29日、連邦政府のタニア・プリバセク保健相は、40億ドルの予算を計上して、百万人を超える児童と低所得者に無料歯科医療を補助する制度を発表した。
この制度により、低所得者層のこれまでの無料歯科医療制度はで長期にわたる順番待ちがあったが、新制度で特定の歯科医に行く必要がなくなり、順番待ちも短くなり、これまで経済的に歯科医に行けなかった人々の口腔衛生が大幅に改善される。
この発表に対して、野党保守連合は「財源の保証のない約束」と批判しているが、歯科専門家は「夢のような政策」と評価している。
WA大学に農村部過疎地口腔衛生センターを設立したマーク・テナント教授は、
「政府の制度案の目標は適切だ。
特に、首都圏縁辺部、農村部、地方などに歯科インフラストラクチャを拡げるために2億ドル以上の資金を充てるというのは正しい。
現在の国内の歯科疾患は、基本的に貧困がもたらす疾患であり、低所得者を対象にしたプログラムは方向性として正しい。
しかも、基礎的な歯科医医療を対象にしていることも優れた対コスト効果が見込める。
また、このプログラムにより、歯科医療の需要が大きくなると共に歯科医の需要も大きくなる。
現在、低所得国民の4分の1程度しか歯科医医療を受けていない。
これは、国民を助けるために働く職業の人々を必要とするようになるから、人々に職を与えるモデルと考えることができる」
と語っている。
この新制度発足と共に、かつてジョン・ハワード保守連合政権時代にトニー・アボット保健相が大見得を切って発足させた「Medicare Chronic Disease Dental Scheme」が廃止される。
これについても、テナント教授は、
「この制度の廃止は適切だ。
この制度は綿密な計画で編成された制度だが、運営がまずく、結局一部で手厚すぎる結果になった。
しかも、幼い自閉症の子供の歯科医療の場合、アボット保健相の制度では、全身麻酔に政府補助金が使えないなどかなりの問題がある。
新しい制度は、これまでの制度よりはるかに的確なニーズに応えていると言える」
と語っている。(NP)
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