2012年8月7日火曜日

探査機キュリオシティが火星に接近:着陸に成功

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●火星上の探査車「キュリオシティー」の想像図



ウォールストリートジャーナル 2012年 8月 6日 11:21 JST
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_489643

探査機キュリオシティが火星に接近-きょう午後2時31分着陸

 【パサデナ(米カリフォルニア州)】米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「キュリオシティ」が火星に接近しており、これまで宇宙で試した中で最も複雑かつ極めて高価で、リスクの高い着陸が目前だ。
 探査費用は25億ドル(約1950億円)。
 NASAの関係者たちは、着陸の成功を祈る気持ちで待ち構えている。

 プルトニウムの原子力電池を動力源とする「キュリオシティ」の6輪のロボット自動車には、カメラのほか、内蔵型分析実験室や掘削リグなど科学的機器10個が搭載されている。
 これらを使って、火星にかつて生命維持に好ましい環境があったのか、また生命に必要な有機化合物があったのかを調べる。

 この火星着陸行動を管理しているカリフォルニア州パサデナのジェット推進研究所(JPL)では5日、技術者と科学者700人にとって、最も試練の大きい段階に入った。
 彼らは直接的にコントロールできない状態のまま、着陸の知らせを待ちわびるしかないためだ。
 彼らは8年間懸命に努力を重ねてきたが、今は信号の受信を待つほか打つ手がほとんどない状況だ。
 つまり6日未明にキュリオシティが火星に無事に着陸したことを示す遠隔測定信号の受信を待つだけだ。

 JPLの技術者で今回の複雑な着陸システムの開発を支援したスティーブ・セル氏は、
 「意識しないと息をするのを忘れてしまう」
と述べ、緊張しながら受信を待ちわびている心理を説明した。

 重さ1ショートトン(約900キロ)のキュリオシティの降下(7分かかる)と着陸は、完全な自動制御で行われる仕組み。
 火星から地球までの通信に14分かかるからだ。
 キュリオシティの降下と着陸はだいたい米東部夏時間6日午前1時31分(日本時間同日午後2時31分)になる見通しだ。

 実際、キュリオシティが火星の大気圏に突入し、降下し始めたとの信号をJPLの制御室のミッション担当者が6日未明に受け取ったときには、キュリオシティは少なくともその7分前に既に無事着陸しているか、あるいは地面に衝突しているかのどちらかになる。

 NASAの火星探査プログラムの責任者ダグ・マクイション氏は、
 「これまで試した中で最も難しい着陸になる」
と述べ、
 「トランクを満杯にした小型車を着陸させようとしているようなものだ」
と付け加えた。

 7分間の降下中、キュリオシティは毎時1万3200マイル(約2万1120キロ)という高速から、ブレーキをかけて火星の表面に穏やかに着地しなければらならい。

 NASAの技術者は、火星を周回する2個の衛星、「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」と「オデッセイ」を通じて、着陸の様子を間接的に監視する。
 2個の衛星は着陸地点の上空を通過し、下降するキュリオシティから送られてきたデータを記録し、中継する予定だ。
 このミッション中、計画の担当者や科学者は火星時間を反映したシフトに基づいて勤務する。火星では1日が24時間40分だ。

 JPLのミッション技術者によると、キュリオシティが着陸後始めて撮影する写真(解像度の低い白黒の試験画像)が着陸して数分後に送信される可能性があるが、状況によっては2時間以上後になるかもしれないという。
 しかし、場合によってはキュリオシティへのリンクが確立されるまでに最大で24時間かかる可能性もある。

 キュリオシティ計画の大気圏突入、下降、それに着陸の段階の責任者を務めるアダム・ステルツナー氏は着陸時刻が近づく中、
 「われわれは理性的には自信を保っているが、感情的には恐怖を感じている。
 キュリオシティは今、自分の力だけで着陸に向かっている」
と話した。

記者: Robert Lee Hotz




毎日.jp 2012年08月07日
http://mainichi.jp/select/news/20120807mog00m040002000c.html

NASA:火星に降下中の探査車捉えた!周回探査機が撮影


●「マーズ・リコネサンス・オービター」が撮影した降下する探査車「キュリオシティー」=NASA提供

 米航空宇宙局(NASA)は6日、火星を周回する探査機「マーズ・リコネサンス・オービター」が撮影した火星に降下する探査車「キュリオシティー」の画像を公開した。

 NASAによると、
 「撮影が1秒前後するとただの火星表面の画像になっていた」
というほどのタイミングで、3月から準備を重ねてきたという。
 撮影されたキュリオシティーは約16メートルのパラシュートとつながったまま着陸地点へ向かっており、この後、無事火星の赤道付近への着陸に成功した。




● JNNニュース


● TBSニュース



WIRED JAPANESE EDITION 2012年8月9日
http://wired.jp/2012/08/09/curiosity-mars-rover-cameras/

火星を撮る17個のカメラ:最新画像と解説



火星探査機「キュリオシティ」には、それぞれ機能が異なる17個のカメラが搭載されている。
それぞれについて、そのカメラで撮影した最新写真とともに紹介。

 降下するキュリオシティの視点で、近づいてくる火星をとらえた動画(日本語版記事)を撮影したのが「Mars Descent Imager(MARDI)」だ(約2分の間に毎秒5枚の撮影を行った)。
http://www.msss.com/science/msl-mardi-instrument-description.php



 MARDIは、キュリオシティの前方に向かって左下に取り付けられた2メガピクセルの広角カメラだ。
 MARDIは、キュリオシティの防熱シールドが取り外された直後から活動を開始し、1ピクセルあたり約2.4mの解像度で、およそ3.2×4kmの画像を撮影した。
 焦点が完全に合った最後の画像は、キュリオシティが火星の地上から約4.6mの高さのときに撮影されたものだ。

 以下は、MARDIが撮影した、防熱シールドが取り外されて落下していく動画だ。
 このときの防熱シールドの位置は、キュリオシティから約15m離れている。

<<画像>>


●キュリオシティの360度自画像。画像は別の英文記事より

 着陸したキュリオシティから最初の画像を送ってきたのは、車輪付近に搭載されているHazcam(Hazard-Avoidance cameras)だ。

 キュリオシティ着陸の際にほこりが舞い上がることを見越して、Hazcamは着陸直後には透明の保護カバーに覆われていた。 
 最初に送られてきた複数の画像に非常に斑点が多かったのは、こうしたほこりのためだ。
 よりクリアな画像を得るために、これらのダストカバーは、花火のような小型装置によって吹き飛ばされる。

 キュリオシティが活動を始めると、探査機の前方に設置された2台のHazcamにより、科学者らがキュリオシティのサンプル収集アーム の動きを決めるのに役立ちそうな、有力な対象物の3D画像が撮影されていく。

 一方、キュリオシティのマストのてっぺんには、Navcam(Navigation cameras)もある。
 NavcamはHazcam同様の画質で、その画像は周囲を探索するために利用される。

 Navcamはキュリオシティ自体も撮影できる。
 上記の画像は、火星から送信されてきた画像を統合して作成された、キュリオシティの360度自画像だ。

 以下の写真は、Navcamが送信してきたキュリオシティ周囲の様子だ。
 遠方にはゲイル・クレーターの縁が見える。



 キュリオシティのマストの先端、地表から約2.1mの高さにある2メガピクセルのカメラ「Mastcam」は、周囲の環境の詳細なカラー画像や動画やパノラマ画像を提供する。



 2台のMastCamは、キュリオシティから約2.1mの位置にある物体に焦点を当て、およそ数百ミクロンの単位にまで詳細を写し出す。

 MastCamの右側のカメラは100mの焦点レンズを備えており、従来の火星探査機カメラの3倍にあたる解像度を提供する。
 このカメラでは、フットボールの競技場7つ分離れた場所から、フットボールとバスケットボールを見分けることが可能だ。

 34mレンズを搭載した左側のカメラはそれほどの能力はないものの、視界の広さが右側カメラが5度なのに対して15度と、はるかに広角の視野を提供する。

 これらのMastCamは、ゆっくりと回転しながら撮影した150の個々の画像をつなぎ合わせ、フルカラーの360度パノラマ画像を作り出すことができる。
 また、毎秒最大10フレームのカラー画像を720p(1280×720)のハイビジョン画質で取得できる。

 なお、これらは「本当の色」、すなわち人がキュリオシティとともにその場にいた場合におおよそ肉眼で見るであろうものを描写する。
 火星の自然光は、大気中のほこりの多さから、地球よりも若干赤みを帯びる傾向がある。
 したがって探査機は、こうした効果を捉えるため、地球上における日没時の太陽光に似た、暖かでオレンジがかった光を与えるよう多少の調整を加えて画像を撮影する(この機能を外すこともできる)。

 火星の岩や土を詳細に分析するためには、キュリオシティのロボットアームの先端に設置された「Mars Hand Lens Imager」(MAHLI)が使われる。
 その2メガピクセルのカラーカメラは顕微鏡として機能し、対象を15ミクロンのサイズに分解する。
 これは人間の髪の直径のおよそ半分の大きさだ。

 MAHLIは約1.9cmの近さにある物体にまで焦点を当てることが可能だ。
 4個の白色LEDと、2個の紫外線LEDを使用し、昼も夜も機能することができる。




ロケットニュース24 2012年8月9日
http://rocketnews24.com/2012/08/09/239134/



歴史的瞬間を目撃せよ!
NASA探査機「Curiosity」の “火星着陸の瞬間” を映した動画が公開され話題に!!


 日本時間2012年8月6日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「Curiosity」が無事火星に着陸し、世界を沸かせた。

 そしてそのCuriosityの火星着陸の瞬間を映し出した動画が、YouTubeにアップされ、これまた大きな話題になっている。
 「Curiosity’s Descent」というタイトルのその動画には、画質が少し悪いながらも、火星着陸の瞬間がしっかりと映し出されており、多くの人の心に感動を呼び起こしている。

 その動画の冒頭には、撮影状況を説明する次のような文章が浮かび上がってくる。
 
 「このストップモーションビデオは、 “Mars Descent Imager” という装置が撮影した297枚のフレームによって構成されています。
 Mars Descent Imagerは、NASAの探査機 ”Curiosity” に搭載された装置であり、Curiosityが火星の表面に着陸する様子をとらえています。
 これらの縮小画像は、2012年8月6日に地球上で受信され、着陸までの2分半を写し出しています」
 
 人類にとって大きな一歩を映し出した今回の火星着陸動画。探査機Curiosityは着陸後、火星の写真を数多く送ってきており、そこにはまさに文字通り、見たこともないような新しい世界が悠々と広がっている。
 火星では、今後一体どんな発見があるのだろうか? 今から実に楽しみである。

(文=田代大一朗)

参照元:YouTube/JPLnews, geckoseyes, NASA, Daily Mail, Examiner.com, wired.com, SmartPlanet(英文)

▼今回の着陸がいかに凄いことなのかを知るために、まずはこちらの動画をご覧下さい!


▼そしてこちらが現在話題になっている「Curiosity」の着陸の瞬間を映し出した動画
上の解説動画どおりに、着陸している! NASA、スゲーーッ!


▼今回、着陸の瞬間を捉えた装置「Mars Descent Imager」


▼火星着陸後、Curiosityが最初に撮影した歴史的写真
これが送られてきた瞬間、NASAでは拍手と歓声が沸き起こったという


▼その後、送られてきた写真。右下にはCuriosityのタイヤが写っている


▼目の前には高さ約5.5kmの山が!Curiosityは約2年のミッションの間に、この山を登るらしい
これから一体どんな発見がなされるのか、今から楽しみ!








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